日本内科学会雑誌
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選択的カルシウム動注後肝静脈サンプリング(ASVS)が局在診断に有用であったインスリノーマの3症例
山口 康平堤 厚之南野 淳吏藤澤 和夫堺 弘治
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2004 年 93 巻 2 号 p. 373-376

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抄録

インスリノーマの局在診断においてASVS (カルシウム動注後肝静脈採血法)が極めて有用であった3症例について報告する(症例1, 2, 3: 31歳男, 39歳女, 31歳男).いずれの例も低血糖発作があり,絶食試験が陽性であったが,腹部CTにて膵腫瘍は発見できなかった.各例でASVSにてIRIの反応が最大であったのは症例1で背膵動脈(14.0→97.2μU/mlへと上昇),症例2で脾動脈近位部(15.7→97.8μU/m1へと上昇),症例3で上腸間膜動脈膵頭部近傍(11.9→79.2μU/mlへと上昇)であった.これらの結果を参考にして,症例1では腹腔動脈より造影検査を行い膵鈎部に腫瘍を証明,症例2ではthin slice CTで膵尾部に腫瘍を証明,症例3では腹部エコー検査にて膵頭部の鈎部寄りに腫瘍を証明した.手術による腫瘍の局在とASVSの結果は3症例で一致していた.

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