日本内科学会雑誌
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片頭痛の治療:最近の進歩
飯塚 高浩坂井 文彦
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2004 年 93 巻 2 号 p. 404-411

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抄録

選択的5HT1B/1D受容体作動薬(トリプタン)の出現により,片頭痛の急性期治療は飛躍的に進歩し,片頭痛の支障度を考慮に入れたstratified-care strategyが論じられるようになった.中枢神経系の興奮性の亢進,三叉神経血管系の活性化,疼痛シグナルの中枢性伝達機構の3つが片頭痛における最も重要な病態であると考えられており,前兆はもはや虚血ではなく,片頭痛発作も脳由来と考えられるようになった.片頭痛の中枢性発生源は脳幹上部にあり,同部の神経細胞の興奮により三叉神経血管系が活性化し,硬膜あるいは髄膜の血管周囲に分布する三叉神経終末からCGRPなどの神経ペプチドが放出され,神経性炎症と血管拡張を生じる.疼痛刺激が血管周囲に分布する三叉神経求心線維を介して三叉神経尾側核を経油して,大脳皮質へ伝えられる.
現在,トリプタンを超える新しい治療薬が開発中であり,選択的CGRP拮抗薬やアデノシンA1受容体作動薬が注目されている.

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