日本内科学会雑誌
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肺癌化学療法に対する感受性試験の現状
陶山 久司倉井 淳清水 英治
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2005 年 94 巻 11 号 p. 2423-2430

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抄録

1998年以降,本邦における悪性疾患の死亡割合で肺癌が一位をしめるようになった. 2003年の肺癌による年間死亡者数は約5万6千人であったが,今後も増加の一途をたどり2015年には約10万人を越えるものと予想される.肺癌治療における抗癌剤や分子標的治療薬の占める役割は今後ますます大きくなると考えられる. 2004年に完全切除後の術後補助化学療法の有用性が相次いで報告された.今後は感受性試験を行うのに十分量の検体を切除標本から得ることができ,一定の期間内(術後4~6週)に感受性試験の結果を出すことで生存期間延長に寄与する化学療法レジメンを選択することが可能になる.長年にわたり検討が加えられてきた薬剤感受性試験の重要性が増すと考えられる.さらに,近年では少量の検体であっても腫瘍細胞の遺伝子情報や特定の酵素活性から薬剤感受性を調べる方法が発展しつつある.このような検討により個別化治療が可能になると期待される.

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