日本内科学会雑誌
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疫学調査から見た慢性腎疾患対策の重要性
井関 邦敏
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2005 年 94 巻 2 号 p. 349-354

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抄録

わが国では依然として末期腎不全により透析療法を余儀なくされる患者が増加している.原因となる慢性腎疾患は主に糖尿病,慢性腎炎および高血圧である. 2003年度末の総患者数は約24万人で国民の約540人に1人の割合である.透析導入時の平均年齢は65歳を超えている.わが国では早期発見,早期治療を目的に種々の検診・健診(職場,地域,市民),人間ドック,および学校検尿が行われている.しかし,その後の経過(アウトカム)をみた研究は少ない.われわれは比較的住民の移動の少ない沖縄県全域を対象に末期腎不全(透析導入)をエンドポイントとし,住民検診の意義を検討している.末期腎不全の発症危険因子として疫学的に重要な項目は蛋白尿(試験紙で1+以上),高血圧である.さらに,末期腎不全発症のハイリスク群としては蛋白尿≥2+,血清クレアチニン高値≥2.0mg/dl,重症高血圧,および末期腎不全の家族歴が挙げられる.

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