教育方法学研究
Online ISSN : 2189-907X
Print ISSN : 0385-9746
ISSN-L : 0385-9746
デューイ・スクール(Dewey School)におけるカリキュラム開発の形態に関する一考察 : 初期(1896~98年)の活動例を中心として
森 久佳
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 28 巻 p. 23-33

詳細
抄録

本論の目的は,初期(1896〜98年)におけるデューイ・スクールのカリキュラム開発形態の特徴を明らかにすることである。その際,「開校後半年間(1896年1〜6月)」と「1896年10月以降」の2つの時期に分けて検討する。開校後半年間におけるスクールの教育方法の方針は,「正規のオキュペーション」,すなわち,料理,裁縫,工作といった衣食住を基本とする活動をカリキュラムの中核に据えることだった。カリキュラムは,この基本的な諸活動を柱として,各活動における単元からさまざまな教科を分化させるよう開発された。この時期,スクールはオールラウンド教師の制度を採り入れていた。1896年10月以降では,教育方法の理念は大幅に変わらなかった。しかし,カリキュラムは,「手工訓練(料理・裁縫・工作)」,「歴史・文学」, 「理科」の3領域における各作業の単元を,他の2つの領域と相互に関連させるよう開発された。そして,この時期では,エキスパート教師の制度が採り入れられていた。そのため,教師同士のフォーマルおよびインフォーマルな交流も,カリキュラム開発にとって重要な要素だった。結論として,初期におけるデューイ・スクールのカリキュラムは,子どもたちが構成的で直接経験を伴う活動を行うことで教科(領域)の必要性を認識し,それらの教科が相互につながりあっていることを意識できるように工夫され,開発されていた。

著者関連情報
© 2003 日本教育方法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top