教育方法学研究
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ノイナー(Neuner, G.)による東ドイツ教授学の評価に関する研究 : 「一般陶冶」の構想を中心として
吉田 成章
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2007 年 32 巻 p. 95-106

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抄録
本稿の目的は,東ドイツの教育科学アカデミーの元総裁であったノイナーが,東ドイツ教授学をドイツ統一後にどのように評価しているのかを,「一般陶冶」の構想を中心に明らかにすることである。本稿では,ノイナーのドイツ統一後における著作を検討し,彼の構想を「陶冶規準」に焦点化し,次の三点から考察した。第一点目は,ノイナーがフンボルトの一般陶冶論へと回帰しながら,自らの一般陶冶の構想を展開しているという点である。第二点目は,ノイナーの一般陶冶の構想はクラフキーの「鍵的問題」の構想との対比において展開されているという点である。第三点目は,ノイナーは「陶冶規準」に基づいた一般陶冶の構想を,今日におけるグローバル化や国際化との関連において展開しているという点である。結論として,以下のことが明らかになった。ノイナーは,フンボルトを引用しながら,学校教育における「陶冶規準」の重要性を指摘し,それに基づいた「教科教授」を強調した。その上で彼は,クラフキーに端を発する「鍵的問題」の今日的な展開を「脱規準化」として批判を行い,「陶冶規準」に基づいた教育領域の適切な比率を主張した。さらに彼の「現代における一般陶冶」の構想を検討すると,「陶冶規準」に基づいた一般陶冶の構想,および東ドイツにおけるレールプランや統一的学校制度の現代的意義を,今日の教育学議論との接点においてあらためて強調していることが明らかとなる。
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© 2007 日本教育方法学会
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