教育方法学研究
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多声的エスノグラフィー法を用いた日独保育者の保育観の比較検討 : 語頻度に注目した実践知の明示化を通して
芦田 宏秋田 喜代美鈴木 正敏門田 理世野口 隆子小田 豊
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2007 年 32 巻 p. 107-117

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抄録
本稿の目的は,ビデオ映像を用いた多声的エスノグラフィーの手法によって,日独の保育者の暗黙的な実践知として作用している保育観を明示化し,比較検討することである。特に分析に当たっては,保育者の「語り」に含まれる語の頻度に注目してキーワードを決定し,そのキーワードを含む文章で述べられている内容をカテゴリー化して解釈する方法をとった。これによって日独の保育文化の中で,どのような共通語がよく使われ,その語で何が主張されているのかを知ることができる。したがって,その文化内で共有されている保育観実践知の中心部分をとらえることができると考えた。結果として,3つの共通点「子どもたちの自主性,主体性の尊重と,指導することへの抵抗感」「社会性の育ちを重視する視点」,そして「安全への視点」を見いだしたが,その内部構造は日独で異なっており,それぞれの国の歴史と文化を反映していたり,保育体制の違いから来たりするものであった。そして,その分析過程において保育改革への多くの示唆が得られた。また,ドイツから学ぶべき点としての「伝統的性役割に対する問題意識」を見いだした。しかし,この点は保育文化の違いにとどまるものではなく,日独の社会意識の相違から来るものと考えられる。
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© 2007 日本教育方法学会
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