教育方法学研究
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原著論文
改革教育学の批判的継承としての学校実験 「イエナ- プラン・ヴァイマール」(Schulversuch „Jena-Plan Weimar”)
生活との差異に基づく授業の構想とその実践
田中 怜
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2019 年 44 巻 p. 61-72

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抄録

20世紀初頭の改革教育学(Reformpädagogik)は,学校と生活の乖離を批判し,両者を結びつけようとしていた。この問題意識は急進的な学校批判が高まった1970年代以降のドイツにもみられた。こうした学校改革の動きの中でも,本小論の検討対象となる学校実験「イエナ-プラン・ヴァイマール」は特異な位置を占めていた。この学校実験は,東西ドイツ統一後に改革教育学の代表格「イエナ・プラン」を蘇らせつつも,同時に学校と生活の統合という改革教育学的理念と批判的に対峙したためである。

それでは,この学校実験はどのように20世紀初頭のイエナ・プランを現代に蘇らせ,また同時に批判的に乗り越えようとしたのであろうか。本小論の目的は,学校と生活を直接に結びつけるのではなく,両者の差異に基づいた授業の理論的・実践的方法を,この学校実験の事例から明らかにすることである。

この目的の達成を通して,以下のことが明らかとなった。すなわちこの学校実験は,生活から意図的に距離を取ることによって,それを反省的に捉える多視点性を授業で際立たせていた。こうした生活との差異に基づく授業は,「多視点的授業」と「対話的教育」という二つの教授学的原理に支えられていた。生活との差異を授業作りの積極的可能性として捉える学校実験は,「授業改革かその批判か」という二項対立を乗り越え,また学校教授における「真正性」や「有用性」の要求を相対化する意義を有している。

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