物性若手夏の学校テキスト
Online ISSN : 2758-2159
第67回物性若手夏の学校
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人工量子系の物性物理とトポロジカル物性
*小澤 知己
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p. 188-202

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抄録

光と物質の相互作用をコントロールすることで実現される人工量子系について多体物性・トポロジカル物性の観点からの入門的な講義を行う。人工量子系と言ってもその幅は広く、光でコントロールされた原子を扱う冷却原子系やイオントラップから、光そのものを研究対象にする光共振器列や導波路列、また光と物質の複合粒子である励起子ポラリトン系などさまざまである。人工量子系の物性物理の研究では、調べたい模型・現象を(近似的に)実現するような人工量子系の実現を目指す「量子シミュレーション」の形を取ることが多い。量子シミュレーションが物性物理にどういった知見をもたらすのかなど人工量子系研究のモチベーションを伝えたい。また、具体的な研究例として人工量子系でのトポロジカル物性の研究の進展も解説する。量子ホール効果に代表されるトポロジカル物性に関連した模型・現象の量子シミュレーションがさまざまな人工量子系で近年活発に議論されている。トポロジカル物性はもともとフェルミオンである固体電子系を中心に研究されてきたが、多くの場合ボソンを扱う人工量子系では固体電子系とは異なった現象が見られる。トポロジカル物性とレーザーを組み合わせたトポロジカル・レーザーや4次元以上の高次元物理をシミュレートできる人工次元の方法など人工量子系ならではのトポロジカル物性研究の最前線をお伝えしたい。

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© 2023 小澤知己
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