名古屋文理短期大学紀要
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ゲル化油の性状に及ぼすオキシ脂肪酸などの影響
石井 貴子小山 吉人市川 和昭志賀 一三石谷 晃子
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2000 年 25 巻 p. 49-58

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抄録

硬化ヒマシ油からの分解脂肪酸を主剤とする廃油処理剤が市販されている.我々は食用油をこの製剤の主成分であるヒドロキシステアリン酸でゲル化するとき, オキシ脂肪酸を含むヒマシ油やその誘導体(水酸化脂質)が存在すると, ゲル化油のゲル強度が低下する現象を発見した.そこで数種類の食用油に水酸化脂質を混合した後, 精製した12-ヒドロキシステアリン酸でゲル化した油(供試油)のゲル強度を, レオメーターにて測定した.このとき水酸化脂質の混合量に比例してゲル強度が低下する傾向を認めたが, 数値にばらつきがあった.次に菜種キャノーラ油を対象に, ヒマシ油, 同混合脂肪酸, 同脂肪酸メチル, リシノール酸メチルの一定量を混合してゲル強度の変化をテストした.供試油を溶解後20℃でゲル化してからゲル強度を測定すると, いずれの添加物でも添加量とゲル強度の低下傾向が一致するが, この場合も数値のばらつきが多く信頼性のあるデータは得られなかった.次に示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry : 以下DSCと略す)を行い, DSCによる曲線を解析し供試油の融解・凝固温度を求め, 標準のゲル化油との温度差を算出し, これらの測定値がゲル強度の低下をよくとらえることを認めた.さらに供試油の酸化安定性も実験して, 当初の食用油に比べある程度の酸化遅延効果を認め, その理由を推論した.

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© 2000 名古屋文理大学
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