2021 年 72 巻 1 号 p. 1_155-1_178
日本の市民による自国政府を対象とした安全保障問題に関する抗議行動 (安保系抗議行動) は、どのような条件下において発生するだろうか。本論文では、基地政治研究で主張されてきた内容をもとに、在日米軍のプレゼンスの規模、具体的には米軍により利用される軍事基地・施設の規模と、それらに関連して発生する経済的便益の大きさに着目し、これらの要因と安保系抗議行動の発生件数の関係性について2005年から2018年までの全都道府県のデータを用いた計量分析により実証する。加えて、自衛隊の基地・施設の規模を独立変数として組み込むことにより、在日米軍の基地・施設がもたらす影響との比較検討を試みる。
分析の結果、ある地域内部における在日米軍の基地・施設の規模が大きくなるほど、当該地域における安保系抗議行動の発生件数が多くなるということが示唆されたが、他方で、自衛隊の基地・施設の規模が安保系抗議行動の発生件数に影響を与える、という旨の仮説に合致する分析結果を得ることはできなかった。また、在日米軍の基地・施設に関連して発生する経済的便益がこの種の抗議行動の発生件数に影響を与えるという旨の仮説の妥当性には疑義が呈された。