2021 年 72 巻 2 号 p. 2_44-2_56
本論文においては、ポーランドにおける若年層の政党支持に関する傾向を検討した。現在のポーランドでは、若年層の男性は反欧州を主張する自由独立連合を、女性は女性の立場やLGBTの権利を重視する左派を支持する傾向がある。この点については、まずはそれぞれの政党が、法と正義の政権のもとでは自分たちの利益が反映されないと考える若年層をひきつけることにある程度成功したことが作用している。ただそこで政党支持にジェンダーの差が生じた理由としては、反欧州と反ジェンダーが 「EUからの強制への反発」 という点で結びついているという要因が作用している。今後は今の若年層が社会の中心となっていく中で、この対抗関係がどのように変化するかを検討することが、一つの課題となるであろう。