抄録
火山活動は,植生に対する自然攪乱の一つである.火山地帯において火山活動が植生に対しておよぼす影響に関する研究は数多くなされてきた.植生に対する火山ガスの影響は地域ごとにさまざまである.本研究では,火山ガスの影響が遷移の進行を制限するということにおける知見を検討するため,北海道東部にある噴気孔群2箇所を調査地とした.その結果,次のようなことが見いだされた.出現種数は森林部に向けて噴気孔から離れるに従い増加した.下層植生の種組成からTWINSPAN を用いて表徴種を抽出したところ,2箇所の調査区で異なる表徴種が確認された.この結果は,各立地における土壌中の硫酸濃度が噴気孔からの距離のみならず比高によっても異なり,それらが植物の分布に影響していることを示唆している.