自然環境科学研究
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光川 (大韓民国) における2種の珪藻Achnanthes japonica H. KOB.とA. convergens H. KOBの分布パターン
李 正鎬後藤 敏一
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1994 年 7 巻 p. 23-28

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抄録
現在までのところAchnanthes japonicaA. convergensの分布が確認されているのは日本および大韓民国のみである.これらの種は,清澄な流水の付着珪藻群集において,しばしば優占的に出現する.
 本研究では,人為的な影響の少ない一河川(光川)における両種の分布のパターンの相違を明らかにするとともに,その要因について考察した.光川(流程およそ43 km)の源流部から河口間に12地点を設定し,1991年5月,8月,10月,1992年1月の4回にわたって調査・採集を行った.環境要因としては水温,pH,電気伝導度,流速を測定した.なお,試料中の種の相対度数は生細胞の示す値を用いた.
 Achnanthes japonicaはおもに上流部において高い相対度数で出現し,下流部に至ると相対度数は顕著に減少するか,あるいはまったく見られなくなる.この下流方向への相対度数の減少は,流速の低下および電気伝導度の増加に対応する.このことから,本種は比較的速い流れを要求し,また,塩分に対する耐性がないと考えられる.したがって,本種は貧腐水性で,比較的流れの速い河川上流部の典型種と考えてよい.季節的には5月,8月,10月に比較的高い相対度数で出現し,1月には低い傾向が認められた.
 Achnanthes japonicaにはー河川における分布に偏りが見られる.それとは対照的に,A. convergensは上流から河口付近(塩分のごく薄い汽水域)まで幅広く分布する.Achnanthes japonicaに比べて,A. convergensでは流れに対する要求はより低く,また,いくらか塩分に対する耐性があると考えられる.季節的には顕著な変化は認められない.このような2種間の生理的な違いが一河川における分布パターンの相違として現れるのであろう.
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© 1994 公益財団法人平岡環境科学研究所

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