抄録
Feに添加した0.1〜1.0%Cが,Lehrer図のγ′相およびε相の相安定性に及ぼす影響をCALPHAD法による平衡熱力学計算により検討した。そして,炭素量が0.1 mass%,0.45 mass%および1.0 mass%と異なる3種類の鋼においてガス窒化処理による実験検証を行った。炭素はε相を低温・低窒化ポテンシャル側へ安定化させ,一方でこの領域に存在するγ′相を不安定化させる。また,ガス窒化処理で形成した表面相構造は,鋼材炭素量に依存せず,ほぼ0.1%C鋼の計算結果に一致した。これはガス窒化処理中の表面脱炭現象によるものと考えられる。