熱帯農業研究
Online ISSN : 2187-2414
Print ISSN : 1882-8434
ISSN-L : 1882-8434
原著論文
UV-CとUV-Bの同時照射が青かび病菌のコロニー発生と収穫後ウンシュウミカン‘青島温州’果実の青かび病斑発生に及ぼす影響
山家 一哲中村 茂和加藤 光弘
著者情報
キーワード: 菌類, 貯蔵, 腐敗, マンダリン
ジャーナル フリー

2017 年 10 巻 2 号 p. 57-63

詳細
抄録

UV-CとUV-Bの同時照射が青かび病菌の生育,ウンシュウミカンの青かび病発生に及ぼす影響等について調査した.培地上の青かび病菌分生子にUV-C,UV-B同時照射およびUV-C,UV-Bを単独照射し,発生するコロニー数を調査した結果,UV-C + UV-B区の10秒照射(UV-C:0.2 kJ·m-2,UV-B:0.25 kJ·m-2)で,培養48時間後のコロニー数は91%減少し,同じ照射時間のUV-C区,UV-B区と比較しても有意にコロニーの発生を阻害した.続いて,‘青島温州’果実に対して,UV-C,UV-B同時照射およびUV-C単独照射を行ったところ,両処理区とも果皮にファイトアレキシンであるスコパロンの生成が誘導されたが,生成量に有意差はなかった.また,果実にUV照射を行い,照射72時間後に菌接種を行った後,軟化部,菌糸部の発生率と直径を調査した.軟化部発生率は,UV照射の有無により違いがみられなかった.菌糸部は,UV-C(2.4 kJ·m-2),UV-B(3.0 kJ·m-2)同時照射により菌接種5日後の発生率が減少し,UV-C,UV-B同時照射またはUV-C(2.4 kJ·m-2)単独照射により菌糸部直径が小さくなった.これらのUV照射により果皮色に影響はみられなかった.よって, UV-CとUV-Bの同時照射は,UV-Cの照射量を増加させず,青かび病菌の生育阻害効果を増強することができたが,本試験でのUV-B照射量(1.5 kJ·m-2~4.5 kJ·m-2)では,UV-Cとの同時照射による果皮のスコパロン生成量および青かび病菌に対する腐敗軽減効果の増強は認められなかった.

著者関連情報
© 2017 日本熱帯農業学会
前の記事 次の記事
feedback
Top