熱帯農業研究
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10 巻, 2 号
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原著論文
  • 籔田 伸, 冨永 淳, 河崎 俊一郎, JAIPHONG Thanankorn, 渡邊 健太, 上野 正実, 川満 芳信
    2017 年10 巻2 号 p. 51-56
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/29
    ジャーナル フリー

    ヤトロファ (Jatropha curcas L.) は耐乾性,土壌適応性の広さ,有毒であるため他の食用油糧作物と競合しない等の理由から熱帯・亜熱帯地域で導入が進められている.BA (6-Benzyladenine) の葉面散布は果房を肥大させることから増収技術に繋がると期待されるが,落果の増加や株疲れの懸念もある.本研究ではBA処理が収穫期間を通した種子収量およびその構成要素に与える影響を明らかにした.2013年4月24日にヤトロファの1年生挿し木苗120株を圃場に植え付けた.花芽分化が認められた直後の9月6日に72株にBA溶液の葉面散布を行った.花(果)房数の調査は全株を対象に処理開始前9日から処理後148日まで行い,処理後69日目に全ての果房について果実数を調査した.収穫開始は処理後82日目で,収穫期を前・中・後期に分け各期間ごとの種子重,稔実歩合を求めた.処理直後は株あたりの花(果)房数に処理区間差は認められなかったが,着花が進むに従いBA処理区が低く推移した.これはBA処理区では2,3次花房の発生が少ない事に起因していた.しかし1次果房の果実数はBA処理区で高く,株あたりの果実収量はBA処理区が無処理区を上回った.その結果,株あたり種子収量はBA処理区 (44.0g) が無処理区 (38.6g)を上回った.BA処理により果実数増加が見られたのは1次果房のみであったことから,複数回処理する事で更なる増収につながるか今後の検討が必要である.

  • 山家 一哲, 中村 茂和, 加藤 光弘
    2017 年10 巻2 号 p. 57-63
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/29
    ジャーナル フリー

    UV-CとUV-Bの同時照射が青かび病菌の生育,ウンシュウミカンの青かび病発生に及ぼす影響等について調査した.培地上の青かび病菌分生子にUV-C,UV-B同時照射およびUV-C,UV-Bを単独照射し,発生するコロニー数を調査した結果,UV-C + UV-B区の10秒照射(UV-C:0.2 kJ·m-2,UV-B:0.25 kJ·m-2)で,培養48時間後のコロニー数は91%減少し,同じ照射時間のUV-C区,UV-B区と比較しても有意にコロニーの発生を阻害した.続いて,‘青島温州’果実に対して,UV-C,UV-B同時照射およびUV-C単独照射を行ったところ,両処理区とも果皮にファイトアレキシンであるスコパロンの生成が誘導されたが,生成量に有意差はなかった.また,果実にUV照射を行い,照射72時間後に菌接種を行った後,軟化部,菌糸部の発生率と直径を調査した.軟化部発生率は,UV照射の有無により違いがみられなかった.菌糸部は,UV-C(2.4 kJ·m-2),UV-B(3.0 kJ·m-2)同時照射により菌接種5日後の発生率が減少し,UV-C,UV-B同時照射またはUV-C(2.4 kJ·m-2)単独照射により菌糸部直径が小さくなった.これらのUV照射により果皮色に影響はみられなかった.よって, UV-CとUV-Bの同時照射は,UV-Cの照射量を増加させず,青かび病菌の生育阻害効果を増強することができたが,本試験でのUV-B照射量(1.5 kJ·m-2~4.5 kJ·m-2)では,UV-Cとの同時照射による果皮のスコパロン生成量および青かび病菌に対する腐敗軽減効果の増強は認められなかった.

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