コメの増産に向けた数々の研究開発が進められているガーナ内陸低湿地において,稲田の灌漑面積比率の低さや既存の水田水利施設の老朽化が稲作振興の課題の一つとなっている.被覆植物を活用して水田水利施設を補強する技術の開発にあたっては,導入植物群落の過繁茂と拡大を制御する抑草・防除方法の確立が不可欠となる.このため,農家が容易に取り組むことのできる手鎌を用いた草刈に着目した抑草・防除方法を確立するための試験を行った.手鎌による草刈後に一度,50倍に希釈したブタクロール,グリホサート,プロパニルを200mL m-2となるように散布しても,草刈せずに散布した場合と殺草効果に違いはなかった.また3剤は,地上部を2週間から4ヶ月の間抑草するに留まり,完全に根絶させるには至らなかった.刈込み直後に2ヶ月程度の湛水状態にすることにより,ギョウギシバ(Cynodon dactylon)は2週間では健全な再生が困難であること,オキナワミチシバ(Chrysopogon aciculatus)とイヌシバ(Stenotaphrum secundatum)を根絶できることを明らかにした.また,手鎌による草刈は刈高を地際1cm未満とすることで,全供試植物の抑草技術として有効であり,さらには,定着する2ヶ月以内に地際で数回,刈込むことによって根絶できることを実証した.