熱帯農業研究
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原著論文
南北大東島のサトウキビ栽培土壌の土壌理化学性と腐植物質の特徴
金城 和俊渡嘉敷 義浩鬼頭 誠
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2009 年 2 巻 2 号 p. 80-84

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抄録

腐植粘土複合体は土壌中で安定的に存在する.熱帯・亜熱気候に属する地域の土壌においてその複合体の形態についてほとんど報告が見当たらない.本研究では亜熱帯気候に属する南北大東島のサトウキビ圃場の土壌の腐植粘土複合体の特徴を明らかにし, その複合体の腐植物質の蓄積要因を明らかにすることが目的である.
1).南北大東島のサトウキビ栽培土壌の粘土含量は514.0~920.0 g kg-1を示し,ほとんどの圃場が重埴土だった.主要粘土鉱物はカオリナイトとイライトで,次いでギブサイトとゲーサイトだった.2).両島の土壌の腐植酸の腐植化度はほとんどの圃場でRp型を示した.交換性カルシウム含量が10μg kg-1以上の圃場はRF値が15~25,ΔlogKが0.85~1.0の範囲にプロットされRp型を示した.土壌中の交換性カルシウムが腐植酸を保護し,微生物による腐植酸の分解防止,すなわち腐植化を妨げることが考えられた.3).ヒューミン画分が腐植酸やフルボ酸よりも多い圃場が両島の圃場において多かった.最もヒューミン画分が多く含む圃場では交換性カルシウム含量も高かった.ヒューミン含量と交換性カルシウム含量との関係は北大東島(n=9, r=0.655),南大東島(n=14, r=0.750)および南北大東島(n=23, r=0.657)においても有意な正の相関関係が得られた.以上のことから,土壌中のヒューミン画分は交換性カルシウムと正の相関関係を示し,ヒューミンの蓄積に交換性カルシウムが関与することが示唆された.

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© 2009 日本熱帯農業学会
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