ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
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水素結合を駆動力とするネットワーク形成を示すオリゴペプチド鎖を導入したポリプロピレンオキシドブロックコポリマーの合成と性質
山田 修平遠藤 剛
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2018 年 39 巻 3 号 p. 102-110

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抄録

両末端にアミノ基を有するポリプロピレンオキシド(PPO)を重合開始剤としてN- フェノキシカルボニルLアミノ酸の連鎖重縮合によって,オリゴアラニンおよびオリゴメチオニン鎖(5-11 量体)が両末端に導入されたABA 型のブロックコポリマーを合成した。これらのブロックコポリマーの溶液をテフロン基板上にキャストすることにより,柔軟性のある透明なフィルムを作製することができた。FT-IR 測定からオリゴアラニン鎖は β- シート構造の形成による水素結合を介した物理架橋により,ネットワークが形成されていることが明らかと なった。一方,オリゴメチオニン鎖はα- ヘリックス構造を形成することが明らかとなった。それぞれの得られたフィルムを引張り試験により力学強度を測定したところ,オリゴペプチド鎖の重合度が増加するにつれて増加する傾向にあり,加えてPPO 鎖の分子量も力学強度に影響していることが明らかとなった。さらに,オリゴメチオニン鎖を有するブロックコポリマーではジイソシアナートを作用させたマルチブロックコポリマーとすることにより力学強度の向上が見られた。

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© 2018 合成樹脂工業協会
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