2019 年 40 巻 5 号 p. 229-237
反応力場ReaxFF を用いた全原子分子動力学シミュレーションを行ない,引張変形下における架橋フェノール樹脂の破壊挙動解析を行った。平衡状態および線形弾性領域における材料物性は実験値および古典MD 結果を良好に再現した。大変形領域における応力-ひずみ特性および化学結合情報の変化を分析した結果,フェノール-メチレン間共有結合の選択的開裂が架橋構造の破壊の主要因であることが分かった。また延伸過程における三次元構造を可視化した結果,ボイドの凝集およびボイド/樹脂界面における分子鎖の伸び切りおよび結合開裂によるボイドの不均一な成長によってマクロ破壊に至るという破壊メカニズムが明らかになった。また,破壊の起点は必ずしも架橋密度の低い領域における応力集中ではなく,延伸下における架橋密度ゆらぎの増大に由来するものであることが示唆された。