2020 年 41 巻 1 号 p. 10-17
機能性向上を目的とし,エポキシ樹脂には種々の改質剤(エラストマー,熱可塑性樹脂,無機フィラー等)が添加されてきた。改質剤種・添加量が同じであっても,相手のエポキシ/硬化剤との組み合わせにより強靭化効果に差が生じる。ポリマーブレンドによるエポキシ樹脂強靭化技術について靭性発現メカニズムを基に分類し解説する。エラストマーブレンドによる強靭化はエポキシマトリックスの塑性変形能力に大きく依存する。一方,熱可塑性樹脂ブレンドによる強靭化は添加ポリマー物性および形成される相構造に依存する。ブロック共重合体ブレンドの場合,強靭化メカニズムはエラストマーブレンドに近い。多様な形状の数十ナノサイズのエラストマー相形成が報告された。ナノ相構造形態による強靭化効果の差について述べる。