ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
総説
ネットワークポリマーの酸化的脱架橋
−高安定性と高分解性の両立−
木原 伸浩
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2021 年 42 巻 6 号 p. 236-242

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抄録

ジアシルヒドラジンは熱的にも化学的にも安定な官能基であるが,次亜塩素酸ナトリウムのような非天然の酸化剤によって速やかにカルボン酸まで酸化分解する。そのため,ジアシルヒドラジンを架橋部位としてもつネットワークポリマーは,使用中は天然の刺激によって分解せず,高い耐熱性,耐薬品性,耐候性を持たせることができるが,使用後に次亜塩素酸ナトリウムによって直ちに脱架橋させることができる。ジアシルヒドラジン部位をもつ硬化体で硬化されたエポキシ樹脂は使用後に酸化分解除去できる酸化分解性接着剤となった。側鎖にエステル構造をもつポリマーは,ジアシルヒドラジン部位の形成による架橋と,酸化的脱架橋を繰り返すことができた。ジアシルヒドラジンによって架橋された透明板を反応射出成型によって得ることができ,次亜塩素酸ナトリウムによって可溶化した。ジアシルヒドラジンによって架橋された高吸水性ポリマーは次亜塩素酸ナトリウムによって直ちにポリアクリル酸ナトリウムに分解した。

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© 2021 合成樹脂工業協会
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