ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
総説
解重合可能なネットワークポリマーへの展開を 目指したポリフタルアルデヒドの活用
林 寛一舘 秀樹陶山 寛志
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2021 年 42 巻 6 号 p. 229-235

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抄録

必要に応じて分解が可能なポリマーは,リサイクルやフォトポリマーなどさまざまな用途で利用が期待できることから,研究が盛んに行われている。中でも光化学的手法により分解が可能なポリマーは,基材へのダメージが少なく,分解の制御が可能という優れた特徴をもつ。ポリフタルアルデヒド(Polyphthalaldehyde:PPA)は,主鎖の分解が可能なポリマーとして古くから知られているが,その特徴的な分解特性から,最近あらためて注目されている。著者らは,PPA の末端にナフタレンオキシムを導入した光で分解可能なPPA(NaPPA)を合成し,溶液やフィルム中での光反応の挙動を詳細に検討してきた。また,光照射前後の機械的特性をナノインデンテーションにより解析した。さらに,PPA とアクリル酸ブチル(BA)との共重合により粘着性を有するPPA 共重合体(NaPPAMA-BA)を合成し,光照射に伴う易剥離挙動を確認した。本稿では,これまで報告されてきたPPA とそれらを用いた機能性材料としての応用例をまとめるとともに,著者らが研究している光分解可能なPPA について紹介する。

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