2023 年 44 巻 2 号 p. 84-90
トリアルキルボラン(R3B)錯体を適用したアクリル系接着剤はポリオレフィンなどの難接着基材の接着に使用される。大きな接着強度を示す主な要因として,被着体の基材表面からグラフトポリマーが成長して界面での接着強度が向上することが考えられている。一方,せん断強度の向上と可使時間の延長を可能とする別の手法として,金属ハロゲン塩(MXn)を添加することが提案され,既にR3B 錯体やR3B 部分酸化物を用いた接着剤の重要な技術になっている。本研究ではこのMXn 添加の効果を詳細に調べ,チオカルボニル基を有する連鎖移動剤(CTA)が同様の効果をもつことを明らかにした。MXn やCTA が成長ラジカルに作用してドーマント種を与え,停止反応や酸素阻害など成長ラジカルの失活を抑制していると推定している。