2023 年 44 巻 4 号 p. 192-199
リパーゼ触媒開環重合の酵素活性部位に着目し,その協奏的酸塩基触媒作用にヒントを得た新しい重合触媒を開発した。溶液重合,バルク重合ともに可能であり,モノマー/開始剤比から計算される理論値通りの分子量の“精密ポリ乳酸”を,実用性のある高重合度のものまで定量的に得ることができる。さらに,用いる開始剤によって,直鎖および任意の分岐構造の導入,開始・停止両末端基の修飾,ブロック共重合化まで,従来になく正確かつ任意に構造を制御した様々なポリマー設計が可能になる 。本報では,まず,酸塩基重合触媒の反応機構を示し,この精密合成法を利用して得られる構造制御ポリ乳酸の一次構造と機能の関連性,長鎖多分岐構造による接着剤への応用,反応性官能基を有する多分岐ポリ乳酸のネットワークポリマーへの展開について述べる。