2023 年 44 巻 6 号 p. 258-265
ピロガロール(1,2,3-トリヒドロキシベンゼン)とエピクロロヒドリンから誘導されるエポキシ樹脂を合成検討し,その硬化物物性評価を行った。ピロガロールは,3 つの水酸基が隣接していることに由来し,エポキシ化反応時に分子内反応した環化構造体ができやすい。この不純物の抑制を目的に,工業的に付加反応と閉環反応を切り分けることで,液状形態を示すエポキシ樹脂(PyTGE)が得られた。PyTGE の硬化物は,4,4’-ジアミノジフェニルスルホン硬化系において高弾性率と高強度を兼備していた。PyTGE 硬化物中では空隙部分にあたる自由体積が小さいデータが得られており,官能基を近傍化させることでより密なネットワーク構造を形成すると推定した。実際に,モデル化合物での検証において,カテコール配座エポキシ基はアミノ基と11 員環構造を生成することが示唆され,これらが特性発現に影響していると考えた。