2023 年 44 巻 6 号 p. 286-293
安価で低毒性な重金属として知られるビスマスは,高い原子屈折や放射線遮蔽性を有する。そのため,有機ポリマーと複合することで,これらの性質を持つ機能性ポリマーの開発が期待できる。しかし,多くのBi–C 結合は不安定であるため,安定にビスマスと有機構造とを複合できる分子設計が必要である。本総合論文では,カルボン酸ビスマス(III)や芳香族ビスムチン構造を安定なビルディングブロックとして活用した例として,メタクリル酸ビスマス(III)およびスチリルビスムチン類のラジカル重合に基づくビスマス含有ネットワークポリマーの合成について紹介する。また,得られたポリマーの屈折率,X 線遮蔽性,フォトクロミズムなど,ビスマスに由来する機能性についても述べる。