ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
解説
パワー半導体向け高耐熱封止材の開発
中村 佳樹
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2024 年 45 巻 2 号 p. 112-118

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抄録

近年,低炭素社会の実現に向けて,エネルギーを有効に活用するためのパワー半導体の重要性は非常に高まっており,Si(シリコン)よりも高効率を実現できる次世代半導体素子として,SiC(シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)の応用が盛んに検討されている。SiC やGaN の応用とともに,パワーデバイスには高耐熱性などの特性が要求され,パワー半導体用エポキシ樹脂封止材料を開発し,いくつかの要因を見いだした。まず,半導体封止材料の低イオン不純物,高Tg はHTRB などの信頼性を向上させる。第二に,半導体封止材とPKG 部品(Cu,SiC など)との線膨張係数(CTE)差を小さくすることが,温度サイクルにおける重要なポイントである。第三に,高Tg と高耐熱性を両立できる剛直なビフェニレン骨格を持つ新しいタイプの樹脂構造を見出した。さらに,半導体封止材料は世界的な環境保全対策や将来の発展にも貢献することが期待される。

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© 2024 合成樹脂工業協会
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