2025 年 46 巻 3 号 p. 116-126
易解体性接着技術を利用すると,製品の使用中に必要とされる接着構造物の一定強度を保ちながら,かつ使用後に外部刺激を加えることによって容易に解体でき,材料や部品を回収することが可能になる。本研究では,保護基の一種であるBOC 基を側鎖に含むポリメタクリル酸(2-tert-ブトキシカルボニルオキシ)エチル(PBHEM A ) をエポキシ接着剤に添加した易解体性接着材料の接着特性ならびに加熱後の解体挙動を検討した。以下の2種類の異なる方法でエポキシ接着剤にPBHEM A を添加して冷間圧延軟鋼板(SPCC)を被着体として用いたせん断 接着試験片を作製し,初期の接着特性ならびに200℃で加熱解体処理後の接着特性を比較した。1つはエポキシ樹脂とアミン硬化剤を混合する際にPBHEM A とエポキシモノリスフィラー(EM フィラー)を同時に添加する方法(直接混合法)であり,もう1つはエポキシモノリスの空隙にPBHEM A を予め充填した後に接着剤と混合して硬化する方法(充填フィラー法)である。PBHEM A を接着剤に添加すると,解体処理の加熱時間に応じてせん断接着強度が低下した。100℃で硬化接着後の状態ではBOC 基が未反応のまま保持されていること,ならびに200℃で解体処理を行った後にはBOC 基が脱保護されていることを確認した。接着剤とEM フィラーならびにPBHEM A の配合比や配合方法,および解体条件などを変えてせん断接着強度の変化を詳しく検討したところ,PBHEM A をエポキシモノリス細孔にあらかじめ充填した場合と直接混合した場合のいずれも類似した解体挙動を示した。種々の配合条件に対する接着剤成分のガラス転移温度,エポキシ接着剤とPBHEM A の相互作用,ならびに解体挙動の関係について考察した。