2026 年 47 巻 1 号 p. 38-44
成形性やリサイクル性に優れる線状高分子に対し,三次元の網目構造をもつネットワークポリマーは,持続可能性(サステナビリティ)の観点から課題を抱える材料として位置づけられてきた。本稿では,ラジカル種を介した動的共有結合化学に基づき,嵩高いジスルフィド結合を架橋点として導入したサステナブルなネットワークポリマーの創製と,その機能発現について概説する。筆者らが着目した分子骨格は,温和な加熱条件下で可逆的にラジカルを生成する特性を有する。この分子骨格を有する誘導体の設計・合成および結合交換挙動の定量的評価を行った上で,ネットワークポリマーに導入することで,応力緩和,損傷修復,再成形,異種ネットワークの融合一体化といった多彩な動的機能が発現することを明らかにした。これらの成果は,ネットワークポリマーの自在な構造再編成や物性制御を可能にし,循環型・長寿命型材料の開発に向けた新たな設計指針を提示するものである。