ネットワークポリマー
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層状シリケート化合物を添加して合成したノボラックから作製した フェノール樹脂ナノコンポジットの構造と物性
松本  明博大塚  恵子木村  肇井出  勇関  徹
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2013 年 34 巻 6 号 p. 323-329

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抄録
フェノール,ホルムアルデヒド,触媒と共に層状シリケート化合物を添加してノボラックを合成した。層状シリケート化合物としては,モンモリロナイトおよび有機化モンモリロナイトを用いた。次に,これらの合成したノボラックを用いてフェノール樹脂コンポジットを作製し,コンポジット中のシリケート化合物の分散状態を検討した。その結果,フェノール樹脂コンポジット中の層状シリケート化合物の分散状態は有機化モンモリロナイトの方が優れており,ミクロンオーダーの観察でフェノール樹脂中に均一に分散し,ナノメーターオーダーの観察で有機化モンモリロナイトの層間にフェノール樹脂が浸入し,層間が広範囲に広がったことが分かった。次に,対照品として汎用ノボラックと有機化モンモリロナイトを二本ロールを用いて溶融混練して調製した成形材料を用いて作製したフェノール樹脂コンポジットと,その構造および物性を比較検討した。その結果,有機化モンモリロナイトを添加して合成したノボラックを用いて作製したコンポジットの曲げ強度や荷重たわみ温度はフェノール樹脂単独よりも低下する傾向にあるが,線膨張係数はフェノール樹脂単独の約60%の値まで小さくなり,寸法安定性が向上することが分かった。一方,二本ロールを用いて溶融混練したノボラックから作製したコンポジットは,曲げ強度や荷重たわみ温度はフェノール樹脂単独と比較して有機化モンモリロナイトを添加することにより向上し,その添加量が3 ~4phr で極大値を示した。しかし,線膨張係数はフェノール樹脂単独よりも小さな値であるが,その程度は約86%に留まり,ノボラックの合成過程で有機化モンモリロナイトを添加した方が優れていた。これは,有機化モンモリロナイトを添加して合成したノボラックを用いて作製したコンポジットの方が,コンポジット中の有機化モンモリロナイトの層剥離の程度が大きいことに起因すると考えられた。
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© 2013 合成樹脂工業協会
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