ネットワークポリマー
Online ISSN : 2186-537X
Print ISSN : 1342-0577
ISSN-L : 1342-0577
報文
メソゲン含有エポキシ樹脂のコンポジット状態での 高次構造と熱伝導率の関係
吉田  優香八木  康洋田中  慎吾竹澤  由高
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 35 巻 2 号 p. 70-75

詳細
抄録

コンポジットの熱伝導率向上にはマトリックス樹脂の熱伝導率向上が効果的である。メソゲン含有エポキシ樹脂は硬化時に自己配列型のドメインを形成し,高い熱伝導率を示す。しかし,フィラーを含むコンポジット状態でのメソゲン含有エポキシ樹脂の高次構造の詳細は,高充填されたフィラーが障害となり,偏光顕微鏡や透過型電子顕微鏡等の電子線回折では観察することができず,これまで明らかにされていなかった。そこで,フィラー高充填コンポジットのX 線回折を試みたところ,コンポジット状態でも樹脂とフィラーの回折ピークを明確に分離でき,樹脂のスメクチック構造に起因するピークを確認できた。これにより,メソゲン含有エポキシ樹脂はコンポジット状態でも高次構造を形成しており,この高次構造が良好な熱伝導率に寄与していることを確認できた。また,メソゲン含有エポキシ樹脂が,フィラーによってその配向が高められ,フィラーを中心としたより秩序性の高い高次構造を形成していることを見出した。

著者関連情報
© 2014 合成樹脂工業協会
前の記事 次の記事
feedback
Top