抄録
カチオン電着塗料用樹脂は, ポリマー中にアミン基, アンモニウム塩基, スルホニウム塩基, ホスホニウム塩基, マンニッヒ塩基等の塩基性基を導入し, これらの塩基性基を酸で中和することによって水分散型とするのが基本である。従ってカチオン電着塗料は, 被塗物を陰極とし, 対極との間に直流電流を通じた時に陰極に析出する水分散型塗料である。
1970年代後半に自動車車体の下塗り用として採用されたエピ-ビス型エポキシ系のウレタン硬化型カチオン電着塗料が高度な腐食対策の要求に応えたため, 以後急速な発展を見, 今日では殆どの自動車車体ラインでカチオン電着塗装が採用されている。
近年は, エッジ防錆を初めとして更に高度な防食性が要請されるとともに, 外観, 耐候1生等の塗膜品質, 更には加熱減量の低減や, 低温化による経済性等に対する要求が高まっている。これらに対して, 材料開発や硬化反応及び造膜プロセスに関する研究が盛んである。
本稿では特にカチオン電着塗料用樹脂の基本的な設計概念と最近の技術動向について, 文献や特許を引例しながら概説する。