抄録
剛直なメソゲン鎖であるポリ-p-ヒドロキシベンゾエートにポリエチレンテレフタレートを共重合させたサーモトロピック液晶高分子 (LCP) を, エポキシ樹脂中に数%分散させた試料 (MC-V) を作製した。また, MC-Vを加熱することにより, LCPに対して溶融状態を経過させた熱処理試料 (MC-H) を作製した。これら両試料について動的粘弾性, 複屈折, FT-IRおよび機械的性質の測定を行った。それらの結果から, MC-Vは分子複合系に類似した挙動を呈すると言えるが, LCPに固有の分散が観測されることや特徴的な複屈折を示すことから, MC-Vは比較的大きなメソゲン鎖の集合から成ったLCPドメインとエポキシマトリックスの微視的不均一系と考えられる。一方, MC-HではLCPに固有の分散強度や複屈折が著しく小さくなる。またFT-IRスペクトルにおいてLCPのカルボニル吸収が低波数側へのシフトが認められ, 機械的性質も向上する。これらのことから, MC-HではLCPドメイン内でメソゲン鎖集合状態が変り, それに伴いエポキシ網目鎖との分子間相互作用がより大きくなり, (マトリックスに対する強化効率がより高められる) 材料としての強靱性が高められたものと推論される。