熱硬化性樹脂
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カリックスアレーン類を配合したエポキシ樹脂の調製と物性
前田 育克内田 昌宏
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1990 年 11 巻 2 号 p. 79-86

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抄録
カリックスアレーンは新規ホストゲスト化合物として期待されているが, 高融点を有する材料としても興味のもたれるところである。我々は, カリックスアレーンをエポキシ樹脂に配合し, 二種のアミンを用いて硬化させその硬化挙動や硬化物の物性について検討した。
カリックスアレーンを配合したエポキシ樹脂は配合しないものに比べ, 耐熱性に優れ, その動的弾性率は大きくなったが, その反面, 曲げ強度の低下が認められた。また・用いたアミンによって反応性や硬化物の物性に大きな変化が認められた。第1級アミンであるトリエチレンテトラミンを用いたときには, エポキシ基とカリックスアレーンの水酸基との反応が進行せず, カリックスアレーンが単独で硬化物中に存在していることが明かになった。一方, 第3級アミンであるN, N-ジメチルベンジルアミンを用いたときには, その両者間で反応が進行していることが認められた。また, その反応性はカリックスアレーンの環の数によって異なることが硬化挙動や硬化物の破断面の電子顕微鏡観察から明かになった。
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