2021 年 24 巻 p. 109-117
本研究は動画「弾幕」機能の利用者を対象に,共有相手集団に対する認知が共有者自身のクチコミ内容および態度形成に及ぼす影響について検討するものである。本研究は“Saying-Is-Believing”効果と呼ばれる,共有相手の態度に合わせた情報を共有する行為が共有者自身の態度にバイアスをもたらす可能性に着目して検証を行った。中国北京市の大学生を対象に,共有相手集団の態度および実体性を操作した実験を行い,実体性が情報作成および共有者自身の態度に与える影響を検証した。その結果,共有相手集団の実体性が高く認知された場合に,共有者は共有相手集団の態度に合わせた「弾幕」情報を作成し,それと一貫した態度が形成されやすいことが示され,実体性による調整効果が確認された。