抄録
熱硬化性樹脂の強靭性を議論するには, まず強靭性とはなにかということを定義しておく必要がある。この総説は材料がクラックの伝ぱんするときの抵抗を強靭性とみて, まず破壊靭性試験によって得られる強靭性について焦点を当てた。クラックが伝ぱんするときの強靭化は, クラックの先端の変形にどれだけ体積が取り込まれるかによる。最大の強靭化は, クラック先端でせん断降伏が生じることで達成される。分散するゴムを加えることは, その周囲での局部的な応力集中によりせん断降伏を促進することである。粒子周りのせん断降伏の発生と成長について, 有限要素法の結果に基づいて述べた。