抄録
ブタジエンの線状二量体である2, 7-オクタジエノールから誘導された新規脂環式エポキシ樹脂はふっ化ほう素モノエチルアミン錯体 (BF3・MEA) による硬化では従来の環状エポキシ樹脂よりも反応性がマイルドである事から, これを利用してプリプレグ化および積層成形を検討した。
トルエン-メチルエチルケトン (MEK) の混合溶媒を使用し, BF3・MEA 3 phr, 100-1200℃, 5-8分の乾燥条件下でドライプリプレグを得ることができ, 保存安定性も良好であったが積層成形のためのフローが全く不十分であった。
そこで, 他の二官能性エポキシ樹脂を添加することにより積層成形が十分可能なフローを得られる事が明らかとなった。
このプリプレグを所定枚数重ね合わせ, 175℃, 105kgf/cm2の積層条件で成形した積層板の物性は耐熱性, 機械的強度に優れ, また, 耐アーク性, 耐トラッキング性にも優れ, 脂環式エポキシ樹脂として初めてプリプレグ法による積層板を得る事が出来た。
また, 耐煮沸水性に対しては基材への特殊な表面処理を行う事で対処できる事が分った。