ネットワークポリマー
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エポキシ樹脂の強靱化-最近の動向について-
友井 正男
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1999 年 20 巻 2 号 p. 97-110

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抄録
航空機分野, 電子産業分野, 自動車産業などの先端分野でエポキシ樹脂を使用するためには樹脂の強靱化が重要な課題となる。この総説ではエポキシ樹脂の強靱化についての方法論や指針について述べる。強靱化のためには次の2つの方法がある : (i) 高性能のエポキシ樹脂や硬化剤を用いる強靱化; (ii) エラストマーや熱可塑性ポリマーのような改質剤を用いる強靱化。ビフェニル, ジシクロペンタジエニル, ナフタレンユニットのような剛直な構造を含む高性能エポキシ樹脂が開発され, 電子産業分野で有効に使用されている。これらの樹脂はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂より低架橋密度で強靱な硬化物を形成する。メソゲンユニットを含むエポキシ樹脂は強靱性の高い液晶性の硬化物を与える。
液状ゴムのようなエラストマーは低架橋のエポキシ樹脂には有効な強靱化剤となるが, 高架橋樹脂に対しては有効ではない。ポリスルホン, ポリエーテルスルホンやポリエーテルイミドのようなエンジニアリングプラスチックの使用により, エポキシ樹脂の弾性率, 強度, 熱的性質などを低下させないで強靱化することができる。エンジニアリングプラスチックによる強靱化に影響を与える因子について議論した。
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