抄録
ピレンとp-キシリレングリコールジメチルエーテル (PXDM) を反応させた後, フェノールを反応させることによりピレン構造を有するフェノール樹脂 [2] を合成し, さらに [2] のエポキシ化反応を行うことにより, ピレン構造を有する新規なエポキシ樹脂 [3] を得た。 [3] のフェノールノボラックによる硬化で得られる硬化物の物性と, アントラセン構造を有するエポキシ樹脂 [5] およびビスフェノールA型エポキシ樹脂 (Bis-EA) の硬化物の物性とを比較した。エポキシ当量から判断して [3] が最も低い架橋密度を与えると考えられたが, [3] の硬化物はBis-EA硬化物より高いガラス転移点 (Tg) を有し, かつ大幅な低吸水性を示した。また, 示差熱重量測定での窒素気流下、700℃における重量保持率は37.6wt%であり, [5] およびBis-EAの硬化物に比べて高い値を示した。これらの挙動はピレン構造の高い芳香族性に起因するものと考えられる。