ネットワークポリマー
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物質拡散から捉える高分子ゲル
高磁場勾配NMR法によるアプローチ
山根 祐治黒木 重樹安藤 勲
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2002 年 23 巻 4 号 p. 211-220

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抄録

高分子ゲルは, 溶媒をゲル内に含み保持するだけでなく, 温度, pH, 電場等の外的刺激に応答して形状を変化させることから, 刺激応答材料や新規高機能性材料への展開が期待されている。これらの物性や機能の発現は, 網目鎖の構造やダイナミクス, 網目鎖と溶媒分子またはプローブ分子との分子間相互作用, さらに, これに関連したプローブ分子の拡散過程と密接な関係がある。このためにゲル内の物質拡散の情報から高分子ゲルの機能の発現を解明することは高分子ゲル科学の進歩には欠かせない。ゲル内のプローブ分子の拡散過程を解析する有力な手法のひとつにパルス磁場勾配スピンエコーNMR法がある。本総説では, 本手法の基本的な理論と, 得られたデータの解析方法及びその解釈について解説し, 本研究室で開発した超高磁場勾配NMRシステムを用いて高分子ゲル中の物質拡散を解析した例を紹介し, 今後の期待される展開について述べる。

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