神経心理学
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原著
進行性の語聾とforeign accent syndromeを呈した1例
太田 祥子松田 実馬場 徹遠藤 佳子飯塚 統森 悦朗
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2016 年 32 巻 4 号 p. 361-369

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抄録

語聾とforeign accent syndromeを呈した神経変性疾患1例を報告した.症例は70歳の右利き女性.主訴は「ことばが聞き取りにくい」「呂律が回らない」であった.純音聴力は保たれていたが,語音聴力の低下が認められた.自発話は,時に音の誤りや助詞の省略・誤用が認められ,また外国人のような話し方に聞こえた.知的機能は保たれ,明らかな失語症は認められなかった.発話分析の結果,プロソディの異常が顕著で,アクセントの異常や音節の分離が示された.右優位にシルビウス裂の開大と前頭側頭葉の萎縮及び血流低下を認めており,右半球主体の両側性病変に由来すると考えられた.語聾と発話障害を呈する神経変性疾患の一群が存在することが示唆された.

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© 2016 日本神経心理学会
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