神経心理学
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特集 大脳内側面・底面(眼窩面)の構造・機能と臨床的役割
動作における「大脳内側面・底面(眼窩面)」の役割
中川 賀嗣
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2017 年 33 巻 4 号 p. 251-262

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抄録

最初に,一側上肢が意思から離れて勝手な動きを呈した2例(道具の強迫的使用例と拮抗失行例)を通じて,前頭葉内側面・脳梁領域損傷によって出現するとされている様々な症候の独立性,近似性,連続性に関する問題点を指摘した.すなわち道具の強迫的使用では,動作を想像したり,言語や動作で呈示されても動作が駆動されうる可能性を既報告例も交えて指摘した.またこうした症例ごとのばらつきを説明するには,症例ごとの病巣の広がりのわずかな差異が,症状のばらつきを生み出している可能性に触れた.次に頭頂・後頭葉内側領域損傷に伴い,道具把持後の使用動作が保たれているのに,それ以外の動作が全般的に障害されたと考えられた例を紹介し,最後に前頭葉損傷例との違いについても言及した.

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© 2017 日本神経心理学会
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