2018 年 34 巻 4 号 p. 310-319
物忘れ外来初診時,1年後,2年後にMMSEとClinical Dementia Rating(CDR)を施行したアルツハイマー病患者122症例を対象として,日常生活機能の障害(functional impairment)の継時的な変化を検討した.CDRのSum of Boxes(CDR-SOB)の1年目年次変化率と2年目年次変化率を分散分析で比較し,初診以降に開始された抗コリンエステラーゼ薬(抗AchE薬)投与の影響も検討した.1年目年次変化率が2年目年次変化率より有意に低く,その結果に抗AchE薬の開始は影響していなかった.初診時の病態説明と系統的に行われた家族指導が,廃用性の認知機能低下だけではなく日常生活機能の障害を改善した可能性が考えられた.