神経心理学
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教育セミナー1
注意障害の不思議
鈴木 匡子
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2019 年 35 巻 2 号 p. 70-76

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抄録

注意機能は,覚醒状態を維持し,状況に応じて脳の機能をどこに優先的に振り分けて,効率的に処理を進めるかを調整するはたらきである.周囲の外的な環境や自己の内的な環境は時々刻々と変わるため,注意はダイナミックに変化する.脳損傷によって注意機能が障害されると,精神運動速度遅延,せん妄,半側空間無視,視覚性注意障害などの症状が出現する.臨床例の観察から,視覚性注意障害においては,視覚対象の動きや内容,課題などにより,視覚性注意の向けられる広がりや個数が大きく変動することが示された.注意機能は多くの認知機能の基盤となるものであり,その性質を理解しておくことは重要と考えられる.

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© 2019 日本神経心理学会
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