頭頂弁蓋の内側面にある第二体性感覚皮質や,後部島皮質を損傷した患者の多くに,温冷覚や痛覚の著しい障害が生じる.生じる障害は,温冷覚と痛覚とでそれぞれ程度や性質が異なりうる.また,刺激が強くても知覚できないという状態だけでなく,痛み刺激を知覚でき程度の評価もできるのに逃避反応や情動反応が起こらない状態や,温冷刺激を痛みとして感じてしまい温かいとか冷たいとかは感じない状態などが起こりうる.これらの障害について,解剖学的背景,過去の症例,神経科学上の知見などを引いて解説した.また,これらの領域の損傷によりそれぞれ異なった特徴の障害を呈した3症例を紹介した.