神経心理学
Online ISSN : 2189-9401
Print ISSN : 0911-1085
ISSN-L : 0911-1085
シンポジウムII 認知症の言語の症状 エッセンス
意味性認知症の言語症状としての語義失語
小森 憲治郎
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 37 巻 3 号 p. 164-170

詳細
抄録

語義失語は側頭葉前方部の神経変性に伴う意味記憶の選択的障害例,すなわち意味性認知症(semantic dementia:SD)において,最も際だつ言語症状である.SDに伴う語義失語のアセスメントの要点は,1)線画の呼称や指示にみられる単語の想起と理解の障害,2)漢字熟語の音読課題に現れる表層失読,3)諺の補完課題における補完現象の消失,4)慣用句の理解障害に象徴される言語性意味記憶障害である.早期から出現するSDの語義失語を見逃さないためには,概念知識の崩壊を示唆する会話中の独特な語用に着目することが肝要である.

著者関連情報
© 2021 日本神経心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top