神経心理学
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原著
脳室内出血を伴う脳梁膨大部出血後に健忘と作話を呈した1例
山脇 理恵村井 俊哉菊池 隆幸松田 秀一上田 敬太
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2021 年 37 巻 4 号 p. 303-314

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抄録

脳室内出血を伴う脳梁膨大部出血後に脳梁膨大部の萎縮および右優位の両側脳梁膨大後部皮質および脳弓脚の損傷を認め,健忘と作話,道順障害を呈した1例を報告した.症例は40歳代の右手利き男性.慢性期の頭部MRIにて脳梁膨大部の萎縮および右側優位の脳梁膨大後部皮質と脳弓脚の損傷を認めた.本症例は,急性期にはせん妄と健忘および顕著な自発作話を呈し,一方で慢性期は健忘と誘発作話,道順障害を呈した.本例が呈した健忘および作話は,脳梁膨大後部皮質損傷や脳弓脚損傷の複合病巣で生じた症状であり,自発作話は,急性期の脳室内出血による意識障害が重畳して出現した可能性が考えられた.

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© 2021 日本神経心理学会
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