抄録
要旨:今回の論文は、上巳の節句(雛祭り)の研究のための調査論文である。調査内容は、京都における上巳の節句について、平安時代から現代にいたる変化を、名称、内容、対象者、食の4項目である。調査方法は、各種文献を中心に行っている。調査の結果、以下の2点がわかった。第1に上巳の節句は、中国から伝来した自身の不浄を清める風習が、ひいな遊び文化と融合し、日本独自の文化へと変化している。第2に上巳の節句の食は、旬の食の恵みや言葉からあやかりを受け、健やかに育ってほしいという願いが込められた経緯があり、これら経緯は、ひいな遊びと食が一体となり、広く親しまれ浸透していることが、本調査を通して明らかになった。